星の子サマーキャンプ99夏

日時 : 平成11年8月31日
会場 : 白浜青年の家

 ミー、ミー、ミー、カナ、カナ、カナ、ジー、ジー、ジー、きらめく夏の光、真っ青な空、輝く緑、空を写す北浦湖、メガトンパンチのような暑さ、蝉時雨が降っていた。

 まだ集団に慣れないこども達が帽子を被りバスから飛び出してくる。
 99夏、今年も「星の子」サマーキャンプが始まった。

 白浜青年の家、そこは霞ヶ浦の北に位置する北浦湖にあり、ここでのサマーキャンプも3回目となった。そして「星の子」主催としては2回目となるが、「星の子」サマーキャンプの名前では何度目に為るのだろうか? それぞれのキャンプには課題もエピソードも楽しさも有りながら今回の催しにも特別な意味も意義もあった。

 まず主役の子供達10数名(小学生)、キャンプリーダ数名(中学生)、高校生ボランティア若干名。そして、このLD児達を担当する大学生ボランティア(マスター・ドクター・国内留学の先生・OB)が子供達の人数名分とスッタフ数名、更に成人LDのA君・S君・Y君。運営のお母さん達何名かとサポートするお父さん数名で、全体は60名近い集団となる。数種類のグループがそれぞれの目標を持っていた。

 各班は子供達数名とキャンプリーダ、同数の学生で10名程になる。燃える緑の中を1番に走ってくるのはキャンプリーダ、そして子供達、続いて暑さに打ちのめされたような学生達。広い青年の家の敷地を歩く歩く、オリエンテーリング。アゲハ、トンボが飛びカブトムシ、蝉も捕まえられる、子供達には天国のような世界。その炎天下で立ち番の役をする成人LD3人と、それを指揮するちょっと太めのNATO派遣軍軍曹の依でたちのO君、風だけが爽やかだ。

 T君を含めた4人の成人LDが、此の1週間前に集まりキャンプの打ち合わせを行っていた。
 T君、スーパでアルバイト。LD成人のアメリカ旅行に参加のため、今回のキャンプは見合わせた。でも4人で話していたら、とても参加したそうだった。
 A君、農家でアルバイト。朝早く起き採り入れから、車での配送まで行っている。やはりアメリカ旅行に参加する。今の仕事には張り合いもある。
 S君、農家でお手伝いをしているが、まだ無給。短大卒、英語が得意だがそれが生かせない。今回「星の子」へ初参加。
 Y君、専門学校2年生(後1年半ある)週1程度引っ越しのアルバイトをしている。LDの子供達と付き合っていると共感もできるし、自分の昔も思い出すとの事。
 3人とも20歳前半である。
 「星の子」でも成人部会または本人の会が作れないものか模索が始まっていた。

 真っ白な雲と真っ青な空。こんなに夏を感じる年も久しぶりな気がする。工作室の外で杉板に穴を開けるお父さん。ドラム缶で燃える灼熱の炎が夏を地獄に変える。杉板を焼く子供達と学生達、焼き杉工作は子供達の想像力を掻きたて、炭化した杉をタワシで擦り落とすと黒光りする板面になる。ペンキで書き込むと、そこに思い思いの模様や文字が踊っていた。

 同じ頃、少し離れた体育館の軒下でお父さん達と成人LDが火文字の作成に勤しんでいた。今年は日除けの軒下だが、去年は土砂降りの雨よけだった。同じ火文字製作だが去年は「ゆうき」今年は「ゆめ」。ここは夢のような時間が支配している。

 お風呂の時間が繰り上がり,A君はそのお手伝いに。残されたお父さん達とS君・Y君、まだキャンプファイヤーの準備が出来ていないので、そちらに移動することに。Y君の引っ越しで鍛えた体はたくましい。
木枠に取り付けた「ゆ」の字と「め」の字をそれぞれ片手に持ち、数百メートルを運んで行く、頼もしさが感じられた。

 昨年に引き続き「火の神」はA君とT君の替わりに高校生ボランティアのAさん。今年は蝋燭じゃないよ、燃え上がる松明(いえ、トーチでした)。暑さも引き夜の帳も降り始めた黄昏時、火の神から燃え上がる炎がキャンプリーダ(中学生)に移される。積み上げた丸太を囲みキャンプリーダがトーチを丸太の間に差し込む。乾燥しきった丸太は直ぐに火が付き、まるでアニメの中の悪魔の炎のように空高く、そして触手を伸ばすように炎の腕を伸ばした。その凄まじさに泣き出す子も・・・

 激しく燃えさかるキャンプファイヤーを囲み、火の神A君の言葉が響く。これはA君が事前に作っていたものです。ジェンカのダンスとゲームで盛り上がった頃、花火が火文字の前で始まった。続いて火文字に火が点火され、皆の目が「ゆ」「め」の炎に釘付けになった。こちらも火の勢いが凄い。でも、いつまでも燃え続けていた。
 司会の「みんなの夢は」の問いに色んな子供達の夢が語られる。「大きくなったら何になりたいの」と、お父さん達に質問が飛び、これにはいささか詰まってしまいました。
 火文字は何時までも燃え尽きることもなく、見つめる子供達も飽きることもなく目を凝らしていました。
 夜空を見上げると満天の星。その星達は「星の子」の子供達を見て、楽しげにキラキラと笑っているのでした。

 子供達の寝静まったころ、大人タイム(いえ、麦茶タイム)色々な感想も出ましたが大人もあくびの連続で今日中の解散。ちょっとだけ持ち込んだ「オ」とか「ビ」で、何とかお父さん達の交流は出来ましたが?
来年の反省に、アルコールは多めに持ち込みましょう!(お父さん達は駄目なんですアルコールがないと)

 翌日はすっきりと目覚め(無いんです頭の中にアルコールが)朝の集いから始まりました。もうみんな仲良しになって楽しい仲間になっていました。
 ゲームではお父さんもお母さんも走り回り、子供達もそんなはしゃぎ回る大人は見たことがなかったかも知れません。

 このキャンプの特筆すべき点は、麦茶タイム。これが各所、各時間に細かく配置され、猛暑にもかかわらず皆の体調が維持されていました。
 全ての采配がお母さん達の細かな心遣いの賜物でした。

 たかが1泊2日のキャンプで、何も変わるところはないのかも知れません。でも変わります、「星の子」のサマーキャンプは。開会・朝の集い・閉会式の司会進行は成人LDで分担していましたし。大人達も学生達もとても楽しんでいたようです。当然に子供達も来年のキャンプには参加するそうです。

 満天の星空が笑っていたように、みんなの笑顔がとっても眩しくて素敵でした。1999年7の月が終わり、時はハルマゲドンを乗り越え、新たな未来に回り始めました。

 この子供達に明るい未来がまるで約束されているかのような眩しい午後に「星の子」サマーキャンプ99は幕を・・・

                      「星の子」吉田父
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