|
 |
県東地区お泊り会 |
|
日時 ： 平成1１年５月８日−９日 |
||
 |
||
天井まで吹き抜けのコテージの広間、時々興奮して眠れないのか子供が２階から降りてきたりする。もう夜の１０時を回っていたが、これからが大人の時間。 ２０人程のお母さん、お父さん１０人ぐらい、前川研を中心に学生（マスター・ドクター・OB・国内留学の先生）も１０名ほど、ひしめきあって湯気の上がる”おでん”を中心に盛りだくさんの料理に箸を延ばす、ビールを飲む。 「○○○、○年生の親です、」「養護の子供達とは違うなと思いました。国内留学で来たいます」「初めて参加しました、マスター１年です。」自己紹介、子供紹介が続いて行く。 隣のお父さんと話していた茶（金？）髪の学生が立ち上がる。１７０センチはあるかな？ 「ジシンです」突然に話し出す。 ”ジシン”の意味がよくわからない？皆の注目が集まる。 「僕はLDで、」 あ、LD本人自身の”ジシン”なんだ！と気づいた。ボランティアの学生じゃないんだ、と言った雰囲気。 噂のソラ君、小学校１年生の時は学校中で１番のチビ。運動会では１番前の真ん中で手を挙げると、彼を中心にみんなが集まってきた。小３の時, LDと言われ、あっちこっち検査につれ歩いたり入院したり。「小学校４年までの学力を大人になるまでに身につけさせることが大切です」と言われたときはショックだったが、高校にも滑り込めて、でも不登校になり、親元から離れた北海道の高校で３年生を終了した。去年の春には憧れのデザイナーを目指し第一志望の専門学校に入学でき、東京で父と２人で暮らすようになったが、順調とは・・・？ 親は子のためと思って、「親の会」を作ったり特殊学級を作ったりしたが、子供にはどれも不満足、自分のことを絶対にLDとは認めなかった。 星の子でも大きい子の会を目指して青年LDが良く行事に参加してくれる。そんな話をしても「僕は直ったから」関係ない、と言う。今回は、彼の家庭教師をしていた学生も来るよ、と言って誘っていたのだけれど、まさか本当に息子が来るとは思ってもいなかった。きっと直前になってキャンセルになるのかな、と思っていた。 車は我が家の家族を乗せ、筑波山は見上げるほどの大きに迫ってきた。 そんな車内で、 「・・の結婚した彼女ってどんなの？逢いたいなー」と脳天気に息子は言っていた。 緑に溢れる筑波山の麓につくと、小学校の頃に一緒に遊でいた友達もいた。すぐに山歩きに移る。突然２班の班長に指名されていて、２班の旗を持ち人集めに離れて行く。誰とでも話が出来るようになっていた。後で感想を話してくれたが「スゲー頭の良いのがいた、○○の事なんか凄い知識だ」と驚いていた。 昔、彼もそんなところがあった。 「僕は普通だ！」それが彼の自尊心で、その殻を彼自身が破ることは自分を自滅させしまう事になる。だから自分がLDであるらしいことは絶対に認められないし、拒否もする悪くも言う、そして嫌悪感すら露わにする。そうしてバランスを保っていた。それが見え／＼の彼だった。 もう二十歳にも為るが、北海道に行った１８歳頃から比べ随分と大人になったようだ。 LDの子は、普通と呼ばれている子に比べ、本当に楽しみなところが多い。決して平坦な子育てを経験させてはくれないし、歩ませてもくれない。でも素敵な面が無限大にある。私たち夫婦はそう思って彼を育ててきたが、そんな思いは子供に伝わっていたのだろうか？疑問ではあるが？ 筑波山を登っていると誰とはなく手を繋いでくる子供たち。みんな人なつっこくて明るい。広場に長ーいローラ滑り台があった、２００メートルはありそうだ。凄いスピードが出るが繋がって滑るのが楽しい。そして仲間を集める子供たちがいる、高校生になっても、やはり繋がって滑るのが楽しいようだ、何度もみんなで繋がって滑る。彼らは人間が好きで、だからいつも仲間を捜している、彼らを理解して心を繋げることの出来る仲間を求めて止まない。寂しがり屋だからではない。 それは人間としての弱さではなく、暖かさのように思う。LDの子供こそ人間的だ、だから僕は彼らが大好きだ。 初夏に向かう筑波山の森は夜の帳に夏草の香が満ち、とても気持ちが良い。お酒も回っていたか。 彼はLD自身であることを笑顔で話した。「ここに来ているような子供たちは、決して悪い方には行かないと思います、」と、まとめたが、その言葉で彼の場面／＼の事件が脳裏を過ぎった。どこで自分がLDであることを認められるように為ったのだろう？ 「何時でも良かったんだけれど、踏ん切りを付けるチャンスがなかっただけさ！」と後で照れながら話した。 決してこれからも親を安心させてくれることは無いと思う、しかし今ここにこうして好青年として振る舞っている息子がいる、その事を良しとしよう。 風天のソラさん（妻との間では彼をこう呼んでいる）、 今日は彼のLDレビューのような気がする。 ソラの父 |
||
|
||
| Copylight 2001 Learning Disabilities of IBARAKI . All right reserved. |
| SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||
