<星の子サマーキャンプ> 〜夏の扉〜

日時 : 平成10年7月25日〜26日
会場 : 白浜青年の家

夏の扉

 緑の水面に、緑白っぽい魚体がビチビチと跳ねながら姿を現す。こんなに激しい跳ねようでは、引き揚げるのは無理かもしれない、そんな風にも思えてくる。それでも力一杯釣竿を持ち上げる。
 どれも20センチ以上ある魚体だ、必死でブルーギルを掴み、バケツへ放り込む。でも跳ねて飛び出す奴が何匹もいた。
 こんな凄い釣りを誰も想像していなかった。2時間ほどで数十匹ものブルーギルを釣り上げた。最高は独りで十数匹も。
 雨は完全に上がり、北浦の白い広大な水面はとても穏やかに広がっている。誰もが満足気に帰路の足も軽やかだった。
 つくばへの道中、蝉の鳴き声も降る天気となり、夏の扉が開かれた。

 7月25・26日、恒例の、でも中身は初めての「星の子」主催となったサマーキャンプが行われた。参加者は子供十数名、高校生以上のボランティア数名、それと同数の親、そして前川研を中心とする筑波大学生十名程に前川先生と総勢数十名となった。

 曇り空、集合場所となった桜支所では、そろそろ暑さの感じる時間帯で天候はきっと晴れに向かうはずだった。霞ヶ浦センターの高い棟の見える駐車場で休憩し、霞ヶ浦大橋を渡り北浦に面した「白浜青年の家」着。子供達の開会宣言の頃からポツポツと細い雨が、昼食のお弁当は建物の中へ移動したが、すぐに上がりそう。でも、雨足は少し強くなって来てしまった。

 釣りを中止して、キーホルダー作りとなる。3センチ四方の粘土を潰し平たくし、思い思いの形にする。後は表面に字とか模様を削り、オーブンで焼く。難しい漢字を聞かれ携帯で、夫に連絡する一場面もあり素敵な作品は帰りのお楽しみに。

 そんな頃、数名の親父達は(前川先生とかA君も居ましたが)3文字を考えていた。既にキャンプファイヤーの中止は決まっていたが、時々雨は上がる、火文字は出来るかも知れない?「ゆ」「う」「き」針金で文字の形を作る。文字に古布を巻き付ける。木枠に針金で固定する。意外に「き」の字が難しい。灯油3リットルとトーチを調達してくる、灯油を文字に染み込ませていると、もう後には引けない、親父達の執念がメラメラと燃え上がってくる。

夕食・風呂、慌ただしく時間が過ぎて行く。雨足は更に強くなる。どうなる火文字、恨めしく空を見上げる燃える男達。

 リハーサルも万全に、キャンドルファイヤーが始まった。研修室は暗くなり闇を歌声が満たす、ハミングに変わると2つのローソクの炎と「火の神」登場。A君とT君の考えた「火の神」の言葉、それから各リーダ達に光が分けられ、そして皆の手にも光が広がって行く、ローソクの炎は円陣に広がり、そして中央の燭台へ集まる。厳かな儀式に胸が熱くなる。

 研修室に電気が灯り、ジェンカのダンスが始まる。
 そのころ、雨が奇跡のように上がる。燃える男達は素早く火文字の枠を移動する。
 合図で、また研修室の明かりが落とされた。カーテンが引き明けられ、トーチの炎が木枠に近づいた。子供達が大きな窓に集まり、成り行きを見守る。タップリと灯油を吸った文字がメラメラと大きな炎を上げる。炎の中に「ゆ」「う」「き」の3文字が黒の縁取りでクッキリと白く輝いた。子供達のお母さん達の学生達の歓声が上がる。暗い夜の空間を感動が満たしていた。もちろん燃える男達も大満足だった。炎は何時までも燃えていた、やがてドラゴン花火が吹き出し、更に演出効果が増す。もうありったけの花火を上げ尽くそうと、次から次と闇を破るように、火花が埋め尽くした。

 火文字は火力を落としたものの、何時までも燃え続けている。カーテンが引かれ部屋に光が満たされ、ジェンカが再開された。騒がしく第2部は進行した。

 みんなが満足して子供達は就寝の準備に行き、それぞれに反省会とか、それぞれにそれぞれだった。

 子供達は眠り、子供達の知らない楽しみが待っていた。メインはビールじゃないんだけれど、大人の時間と云うこともあり、勿論、学生、先生、お母さん・お父さん・それにA君・T君、更に遠路、T夫妻も駆けつけ大◯会となったが、それぞれの自己紹介と子供と接しての感想を聞いたり、後は1時にT夫妻は帰られ、2時組、更に4時組も居たとか?!

 でも何とか、僕は6時に目覚めることが出来、曇り空の下、白い北浦も見渡せる芝生で朝の集い、ラジオ体操を何年か振りに楽しめた。

 さあ、今日は昨日出来なかった釣りだ!!!朝食を済ませ、釣竿の置いてある倉庫の前に集合する、細い雨が降り始める、だんだん雨足が強くなってくる。
 どうする???、これはとっても悩む事態となってしまった???大人には、そんな決断をする勇気も権利もなかったので、子供に聞いた。
 賛成多数により、雨の中での釣りを決行することとした。しかし、湖に着くまでに濡れてしまってはと、車で運搬することに。でもアクシデントは続く、先発車と後発車の行き先が違っていた。

 まあ、色々ありましたが土砂降りの雨の中で、釣竿に糸・重り・浮き・針を付ける。傘を差すお母さん達、傘に溜まった雨をドサーッと背中に落とされたり、重りを忘れて立たない浮きもあったけど、ブルーギルはお構いなしに良く食い付いた。
 釣りは、楽しいと子供だけでなく大人にも、かなりの教育効果がある。先ず、得体の知れない生物(ミミズとかゴカイ)を手に持つ、これに針を差込む、ヌメヌメとした魚を掴む、針を魚の口に手を入れグチャグチャにして外す、こんな気持ちの悪い作業が必要で、もう泥どろのヌメヌメのグチャグチャで血塗れ、更に針は自分の体に刺さったりする、釣りの楽しさは、それを乗り越えさせてくれる。
 子供達は魚を触れるまでになる、大人もミミズには触れるようになったし、何よりも再度釣りをしたいと思うようになった。

 子供達の大人達の歓声に、すっかり雨は上がり時間は過ぎ、どこで辞めたらいいのか?とにかく竿を入れればブルーギルが上がってきてしまう。

 雨上がりの空の下、広大に広がる白い湖、緑の湖面、北浦湖からやっと夏の扉が開かれた。
  Copylight 2001 Learning Disabilities of IBARAKI . All right reserved.
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送